17. Ollama実行時のGPU負荷をnvidia-smiで定量的に監視する方法
LLM推論の計算負荷とGPUリソースの重要性
大規模言語モデル(LLM)の推論処理は、本質的に大量の行列計算(行列積)であり、これはGPUの得意とする計算パターンそのものです。そのため、GPUリソースの利用状況を正しく把握できなければ、パフォーマンスのボトルネックを特定することはできません。
nvidia-smiによるGPU状態の把握
NVIDIA GPUを搭載した環境において、nvidia-smiは最も信頼性の高い監視ツールです。このコマンドは、GPUの利用状況をリアルタイムでスナップショットとして提供します。
注目すべき主要な指標は以下の通りです。
- GPU Utilization (%): GPUコアが実際に計算に使われている割合です。これが低いのに応答が遅い場合、CPUやメモリ、あるいはソフトウェアのオーバーヘッドが原因かもしれません。
- Memory Usage (VRAM): モデルの重みやKVキャッシュが格納される領域です。これが枯渇すると、処理が停止したり、極端に遅くなったりします。
- Process List: どのプロセスがどのGPUリソースを占有しているかを特定し、Ollamaプロセスが意図しないリソースを占有していないかを確認します。
段階的な負荷テストと監視手順(構築事例)
単にnvidia-smiを一度実行するだけでは不十分です。以下の手順で負荷をかけて監視することが重要です。
- ステップ1:ベースライン測定: サービスを停止した状態で
nvidia-smiを実行し、アイドル時のVRAM使用量と利用率を記録します。これが基準点となります。 - ステップ2:モデルロード負荷の測定:
ollama pullを実行し、VRAMがどの程度増加するかを計測します。この増分が、そのモデルの「フットプリント」の目安となります。 - ステップ3:推論負荷の測定:
ollama runを実行し、応答生成中にVRAMが安定的に使用され続けるか、あるいは急激な変動がないかを観察します。応答が途中で止まる場合は、VRAMの枯渇や、システムレベルのタイムアウトが原因の可能性があります。
ボトルネック特定のための追加検証
もしGPU使用率が低いのに遅い場合、ボトルネックはGPUではなく、CPUやシステムメモリにある可能性が高いです。この場合、htopなどのツールでCPU使用率を監視し、CPU負荷が高い場合は、モデルの推論パイプライン全体を見直す必要があります。また、モデルの量子化レベル(例:Q4_K_M)を調整することで、VRAM消費を抑えつつ、性能を維持できるかどうかの検証が重要です。
まとめ:監視は「定量的」なデータに基づき行う
Ollamaのパフォーマンスチューニングは、感覚ではなく、nvidia-smiなどのツールから得られる定量的なデータに基づいて行うべきです。リソースの増減を追跡し、どのフェーズでリソースが逼迫しているかを特定することが、安定したサービス提供の絶対条件となります。

